11月に、奈良県で「セルフ・コンパッション(自分への思いやり・慈悲・やさしさ)」
についての講座をすることになり、今、資料を作っています。
この講座、すごく楽しみなのです。
資料をまとめていても、本当に
セルフ・コンパッション=「自分に思いやりを向けること」
「自分の心身がニーズ(必要としていること)に気づき、それを満たしてゆくこと」
って、セラピーや心の癒しにおいて、大切なんだなあ。
本当にたくさんの人に、このことを知ってもらいたいなあ!
という思いが増すばかりです。
たとえば・・
自分に対する批判(自己批判)で、悩んでいる人が居るとします。
私自身もそうでした。
昔は特に、自分の内側の「批判さん(自分を批判する心の声)」の活躍っぷりといったら、もう・・
ことあるごとに、脳内に「ダメ出し」の声がありました。
でも当時は、自分の内側にそういう声が「ある」ことにさえ、そんなに「気づいて」いなかったんです。
コンパッション(思いやり)は、まず自分の内側に、苦しみがあることに「気づく」ことからはじまります。
この場合は、まず、「批判さん」の声に気づくこと。
「あ、また今、こんな風に自分に厳しい声をかけているんだな・・」、とか
「あ、いま、しんどいね。」と、気づいてあげる。
まず、その心の中の「声」に気づくだけでも、
ほんのすこし「批判さん」の活性化(不快な感覚)が、落ち着いたりします。
これは、今風に言うと、「マインドフルネス」= あるがままの観察 と呼ばれます。
マインドフルネスによって、「批判さん」と「自分(私)」が、一緒くたになって混ざっていた状態から、
少し「批判さん」を客観的に見る、心のスペース(場所)ができます。
その後に、私がよくするのは、自分との「つながり」を感じること。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」「いま、一緒にいるよ。」など、自分が安心する言葉かけをしながら、
必要があれば、自分のハート(心臓)のところに手を置いたり、その手の温かさを感じてみたりします。
(自分が安心するところ、触れていて心地よい場所に手を置いてあげてくださいね。
もちろん、触れなくてもokです。)
心地よいタッチは、「幸福ホルモン」と呼ばれる、オキシトシンの分泌をうながします。
そして、「もし、この苦しんでいるのが、自分の親友だったら、どんなふうに声をかけるんだろう?」
なんて、少し客観的に考えることもできるようになってきたら、しめたものです。
「これが友達だったら・・・?」これまで、相当がんばってきてるよね、と思う。
そしたら、「ずいぶん、がんばってるなあ。ちょっと、一緒に休憩しよっか。」とか、声をかけてみる。
そのあとは・・お茶でも飲みに行く。
ここで、自分の「ニーズ」(聞きたい言葉、する必要があることなど・・)を満たしてあげます。
こんな風にして、日常の中で何か「苦しみ」に気づいたら、
少しだけ、自分にやさしくすることを習慣にして、続けていきます。
(「苦しみに気づく」、「タッチ」、「これが親友だったら?」の声かけ・・など、どれができるものから始めるのでも十分です。)
すると次第に、日ごろ、少しずつ落ち着きが増してくる自分に気づくかもしれません。
自分が落ち着くと、次にしてみたいことなど、自然に「創造」のエネルギーもわいてきます。
良い循環が、生まれていきます。
もちろん、苦しみがあんまり大きい時などは、自分でコンパッションを向けるのが難しいこともありますよね。
そんな時は、どうか無理をしないで、少しおやすみ(眠る、食事など)したり、
セラピーや、信頼できる他の人に、つながってみましょう。
今日は、日常の中でも、セルフケアとして、少しずつできることがたくさんあることを、お伝えしたくなりました。
小さいことのようですが、一見地味な、小さい繰り返しが、大きな変化を生むことがあるのです。
・・・
みなさんもどうぞ、自分自身に、
「いま、わたしの心地よさ、健康、安全のために、必要なことは何だろう?」と、
こころとからだに聞いてみてあげてください。
そして、できる範囲で、自分へやさしさを向け、自分のニーズを、叶えていってあげてくださいね。
追伸:
より詳しく、セルフコンパッションの考え方、実践方法を知るには、クリスティーン・ネフさんの本、
「セルフコンパッション」や、「マインドフル・セルフコンパッション・ワークブック」がおすすめです。