トラウマのセラピーにおいて大切なこと -「リソース」とトラウマ

 

2022年、どうぞ、皆さまにとり、素晴らしき一年となりますように✨

 

今回は、「リソース」とトラウマの解放について書いてみますね。

私が、セラピーの中でも、とくに大事にしていることの一つに、

「リソース(=心や体がほっとして、落ち着く状態)を育む」ということがあります。

 

でもなぜ、セラピーで、「リソース=心身が安心すること」という「肯定的な体験」を育むことを、

まず、大事にするのでしょうか。

 

トラウマを解放するセラピーの過程を、「もも太郎の鬼退治」にたとえてみるとします。

ここでの「鬼退治」とは、「トラウマ、傷つき」といった、一見、否定的なものに向き合うこと。

鬼=心の中の傷や、ネガティヴなこと、影の部分に出会うこと、にたとえられるかも知れません。

 

鬼退治に行く場合、いきなり、素手で鬼のところに行って「たのもう!」とはしませんよね。

まずは、おばあちゃんにもらった、きびだんごを用意します。

そして、仲間になってくれる、いぬ、さる、きじといった、動物たちに出会って、みんなで心を一つにしていきます。

まずはそういった、味方になってくれるもの=「リソース」と出会い、

鬼に出会うための「力」をつけてから、鬼ヶ島に向かっていきます。

 

「リソース」を育むのは、この「自分の力・味方になってくれるもの」を、大きなストレスに向き合う前に、

しっかりと準備してゆく、下ごしらえのようなものだと思っています。

 

そして、十分なリソースをたずさえ、「力」をつけて、鬼ヶ島に向かったら、

以前には「鬼」と思っていた、トラウマや傷つきに向き合う頃には、

実はもう、鬼は、そんなに怖いものでもなくなっていることが、多いものです。

お話の中でも、最後にはむしろ、鬼こそが、宝もの(生命力)をもたらしてくれるのですから。

 

セラピーでも、リソースの「土台」があってこそ、トラウマの解放が、

そして自分にとっての「真実(ほんとうのこと)」を統合することが、安全かつ、着実にすすみます。

 

逆に、この「リソースの土台」づくりが十分でない場合、急速にトラウマに暴露するようなセラピーを行って、

かえって症状が悪化した・・というようなことも、残念ですが起こりうります。

 

ですので、これは、声を大にしてでも、お伝えしておきたいのです。

リソースという、力を育んでゆくプロセス自体が、トラウマや傷つきを癒す、たいせつな一歩一歩なのです。

 

これまで、数々のトラウマに関わる療法を学んできましたが、その中でも特に、リソースの土台を作ってゆく(思い出してゆく)ことは、

「安全」に、「着実」にセラピーをすすめる上で、何より大切なことだと、心より痛感しています。

このセラピーでの、リソース構築の大切さが、一般には恐らくまだあまり知られていない所が、歯痒いところです;;

「安心・安全」という言葉は、一見地味に見えるのですが、意外と奥が深く、

これこそが、「癒し」の土台、エッセンス と言ってもいいほどなのです。

 

みなさんに、ぜひ本当の意味で「安心」できるセラピーを、受け取っていただきたい、

また、自分もそういうセラピストでありたい、という、熱い思いがあります。

 

次回も、トラウマのセラピーにおいて大切なこと、続けて書いていきますね。

 

ドイツで出会ったカレンドゥラの花