最近のトラウマ治療の流れの中で、とても重要になってきている考え方で、
「トラウマ(心の傷)は、単に「語る」だけでは、回復につながりにくい。」ということがあります。
これは、トラウマはというものは、実は、
「身体」に残った、過剰な「ストレス」に対しての反応である
ということ。
ゆえに、トラウマ的な出来事は、しばしば、言語で語ることが難しいことが、関係しています。
何かの出来事が起こり、その人が、それを「ストレス」だと感じるとき、身体では、様々な反応が起こります。
(筋肉の収縮、自律神経系の過剰な反応、ストレスホルモンの放出など・・・。)
そして、セラピーでは、
ストレスに対して起こっている、
そういった「身体レベル」での反応に気づき、
解放、または調和させてゆくことで、
過覚醒(フラッシュバック・パニック・興奮・・)、低覚醒(解離、うつ、無気力)など、
いわゆる「トラウマの症状」からの回復も起こっていきます。
頭で考えて「語る」のみでは、トラウマの根っこにある「身体レベル」の反応に、変容をもたらすことが中々難しい場合があるのです。
私自身、「解放のフィジオロジー」というクラスで、
ソマティック・エクスペリエンスという療法をベースにした、身体・神経系の側面からの、癒しのアプローチを学ぶ中で
まず、自分自身の身体で「何か起こっているのか」を知り、
実際に、自分の身体が、どんな風に多くのストレスへの反応をしていたか(!)に気づき、
同時に、自分の中にある、ストレスから回復する力、「自己調整」の力を高めてゆくことで、
「今」を生きることが、昔に比べて格段と、からだごと、楽になってきました。
これは、自分の存在のあり方を、身体ごと、じわじわと変えてゆく、安全で、かつ深いところからの癒しのアプローチだなあ・・と、実感しています。
次回は、癒しにとても大切な、「リソース(資源)」ということについて、少し書きたいと思います。
California のJoshua Tree にて