自律神経と、こころの関係(1)

今日は、<自律神経と、こころの関係>についてお話しします。

私が、カウンセリングの中でいつも意識していることの一つに、

その方の「自律神経の状態は、どんな状態なのか?」ということがあります。

なぜ、「こころ」のことを扱うのに、「自律神経」が大事なのでしょうか。

それは、<「心の状態」が、「自律神経の状態」と強く結びついているから>です。

そして、「自律神経の状態を整える」ことで、「心も整ってゆく」からなのです。

 

自律神経には、大きく分けると<交感神経>と、<副交感神経>があります。

交感神経は私たちを活動的にして、副交感神経は、消化・お休みさせてくれるものです。

私たちが普段、調子が良いとき、健康な時は、この自律神経の<動く>と<おやすみ>の二つのモードを、

行ったり来たり、柔軟に繰り返しています。

 

たとえば・・・

何かを見て、びっくりした。心臓がドキドキして、手に汗が出た。 <交感神経の活性化モード>

すると、自然に、ほーっとため息が出た。一息ついて、コーヒーを飲む。<副交感神経のおやすみモード>

そして、また動く <交感神経>・・・

というように、そこには、<活性化 〜 沈静化>の良いリズムがあります。

 

ところが、です。

人生の中で、何か大きなストレスがかかったり(ショックトラウマになるようなもの)、

小さいストレスでも、何度も恒常的に繰り返された(発達性トラウマなど)場合、

私たちの神経系は、本来の「しなやか」なリズムを失ってしまうのです。

私たちが心や体の「不調」を感じるとき、そこにはほとんどいつも、自律神経系のリズムの「不調」があります。

 

交感神経が過剰になっている不調(過覚醒、怒りっぽい、眠れない、多動、パニック傾向など・・・)

または、副交感神経が過剰になっている不調(うつ、ぼーっとする、動けない、引きこもり、解離など・・)。

もしくは、そのどちらもが同時にある・・など、その「不調」は、心・体の症状として、さまざまな現れ方をします。

 

ですので、まずは、自分が<今、どんな神経の使い方をしているのかな?>と、

自分の<自律神経の使い方のクセ>に、「気づく」ことが、鍵になります。

そして、そこから少しずつ、自分にとっての「しなやかな自律神経のリズム」を、

もう一度、体のレベルで思い出してゆくのです。

それには、まずは自分にとって、「安心できる・心地の良いもの(=リソース)」を感じること、

心地よさを集め、感じてゆくことが、良いスタートになります。

「心地の良さ」は、私たちの神経系を、二つの神経の極から出られない「過剰さ」から、

今・ここにある、「ニュートラル」なゾーンに連れてきてくれるのです。

 

また、たとえ、過去にどんなひどいトラウマなどがあっても、どんなに大人になってからでも、

自律神経のあり方は、繰り返しの働きかけにより、「変化させてゆくことができる」という研究結果があります。

これは、「神経の可塑性」と呼ばれます。

私は、この「神経の可塑性」ということを、自分自身の癒しの体験や、

クライエントさんたちが変化されてゆくのを見ても、実感しますし、心から勇気をもらっています。

 

たとえ、どんなに今の不調がしんどいものだったとしても、今、そのことに気づき、

少しずつ新しい神経のパターンを積み重ねてゆくことで、

<本来の心地良い自律神経のリズム>を取り戻すことができること。

自律神経を調整してゆくことは、自分の「自然なリズム、自然治癒力」を取り戻していることなのです。

 

カウンセリングの中では、一緒に、今のご自身の自律神経のあり方に意識を向けつつ、

さらにご自身の<自然治癒力、良いリズム>へと調整し、変容を積み重ねるサポートをしていきます。

・・・(2)に続きます。

 

春ですね。小人たちも、川遊び。